SPECIAL INTERVIEW
映像作品リリース記念 スペシャル・インタビュー

竹内まりや スペシャル・インタビュー<前編> : 感動につつまれた、あの11年ぶりのアリーナツアーを振り返る

とても和やかな雰囲気で、
楽しみながらツアーを廻ることができたんです。

2025年4月から6月まで、全国8都市を廻った竹内まりやのアリーナツアー『souvenir 2025』。14公演に対して50万人以上のチケット応募があり、大きな話題を呼んだこのツアーの模様が映像作品『souvenir 2025 ~mariya takeuchi live~』 Blu-ray&DVDとして作品化、7月22日に発売されます。
本作の発売を記念して、竹内まりやスペシャルインタビューを<前編><後編>でお届けします。

<前編>では、映像作品としての見どころを解説。言葉の端々から感じられる“感謝”の想いが、ツアーを大成功に導いたのではないかと感じられるインタビューです。

インタビュー&テキスト:
須田真希子

CHAPTER 1
客席にいるファンの皆さんの表情を
はっきり見ることができて
感動しました

11年ぶりの全国アリーナツアーを1本の映像作品としてご覧になって、いかがでしたか?

日本武道館、横浜アリーナ、Kアリーナと、3ヵ所の公演の映像を織り交ぜているので、それを並べた時にチグハグにならないようにと思っていたんです。完成した作品を見たら、会場が違っても、オーディエンスが持っている空気感からは一貫して同じあたたかさを感じることができて。違和感なく1本のライヴとしてつながっているなと思えたので、皆さんにもそう感じて見ていただけたらうれしいです。

3ヵ所の映像のミックスには、どのような意図が?

実際にライヴに来られた方は、『自分はこの会場で見たな』と思い出しながら見てくださると思うんですね。複数の会場からのテイクがあったほうが、その気持ちをたくさん共有できるのかなと。それと、私にとっても選択肢は広い方がいいんです。会場の広さが違うとステージの見え方にも違いがあるし、音の状態も日によって異なったりします。テイクセレクトの基準はまず、“どの日の演奏と歌を残しておくべきか”ということなのですが、結果、3ヵ所の公演からバランスよくチョイスできたと思います。地方公演の映像も入れられたらよかったのですが、カメラを入れたのが今回はこの3ヵ所だったんです。というのも、カメラの数がすごかったんですよ。

どのぐらいの数が入っていたんですか?

一番多い日でカメラは22台、撮影クルーが100人以上いたそうです。Kアリーナはウィングカム(空中から撮影できるシステム)を入れることもできましたし、とても贅沢な撮り方をしています。ライヴ収録の重鎮といわれるカメラマンさんが揃ってくださって、最終的な編集は私のライヴを見尽くしている女性ディレクターが担当してくれました。バンドメンバーの手元のアップを時折挟んだりとか、スイッチングが見事ですよね。フルサイズのライヴを映像として飽きずに見られるように、工夫がされていて感激しました。

客席の様子も映っていますが、ファンの皆さんの表情がとても印象的でした。

そうですよね!映像のチェックをしながら、『ああ、こういう表情で見てくださっているんだ』と、ストップモーションで何度も見て感涙してしまいました。そもそも私、普段応援してくださっているファンの皆さんの顔が見たくてライヴをやっているので。でも、本番のステージからは、皆さんの細かい表情までは見られない。それをカメラがつぶさに捉えてくれて、映像を通してはっきりと見ることができてめちゃくちゃ感動したんですよ。この映像を見て、『自分が映ってる!』とビックリする方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)、撮らせていただいて本当にありがとうございます、とお伝えしたいですね。

CHAPTER 2
黙々とバッキングしている達郎の姿が見られる
それだけでも価値がある作品だと思います

特に心打たれた場面を具体的に挙げるとすると?

『不思議なピーチパイ』は、11年前と同じように、皆さんが私と一緒に歌ってくださっていて。前回も来てくださったのかなと思う年代の方もいれば、若い方がその中にチラホラ混ざっていたり、タオルを振ってくださったり。『人生の扉』では男泣きしている方もいて。この曲って、会場がえも言われぬ雰囲気になるんです。聴いてくださっている皆さんが、自分の人生を噛みしめているような……歌っていてすごく深い空気に包まれる気がするというのかな。そういった客席の反応も、映像を通してお届けできたらいいなと思ったんです。それと、今回は初めてビジョン(大型スクリーン)を使いましたので、その映像とのコラボも見ていただけるといいなとも思いました。

演出の一環として巨大なビジョンに映し出された映像を
あらためて見返して、演奏との見事な調和を実感しました。

達郎が初めて通して見た時、“『マージービートで唄わせて』で、あんな凝ったイギリスの映像が出てたなんて知らなかった”って言ったんですよ。演奏陣は後ろを振り返ってビジョンを見ることはできませんからね。私も、映像が完成した時に通して見てはいますが、実際のステージでバンドと一緒になった時にどう見えるかはカメラが捉えてくれないと分かりませんから。『こういうふうに見えてたんだな』と確認することができてよかったです。今回、ビジョンそれぞれの映像制作は7つぐらいのチームで分担していただきました。一定の方にお任せすると、どうしても同じテイストになってしまいますからね。なので、私の音楽を聴いて育っていない若い世代から、海外に住んでいるクリエイター、外国の方までと、インターナショナルで幅広い方々にお願いしたんです。ただ、映像だけが目立つような手法はあまり好きではないので、あくまで演奏者が中心にいて、その音楽世界を盛り上げるための演出。あらためて見て、ちょうどいいバランスで融合しているなと思えました。

達郎さん率いる“スーパーバンド”の皆さんの手元が見られることもかなり貴重だと思いました。

オガちゃん(小笠原拓海=ドラムス)がフィル(=フィルイン:曲の区切りや展開部分で入れる短い装飾的なフレーズ)を入れる瞬間とか、ギターやベースの手元とかね。ヒロベン(難波弘之=ピアノ&キーボード)にも柴っちゃん(柴田俊文=キーボード)のところにも2つぐらいカメラを置いてますし、何より、黙々とバッキングしている達郎の姿が映像で見られるのもレアじゃないかな。それを見るだけでも、この作品を見る価値があると思います(笑)。

このツアーで初めて一緒にステージに立った、
ギターの鳥山雄司さんとのコンタクトもとても自然体でした。

鳥山くんは私の独身時代のツアーに参加してくださっているので、一緒にステージに立つのは実は初めてではないんですよ。『ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜』をたくさん弾いたっておっしゃってたから、1979年頃かな。何十年かぶりではありましたが、そう感じることがなかったのは、自然に馴染んでいらっしゃるからでしょうね。私にとって、バンドの心配がないというのは一番の安心材料なんです。達郎がバンマス(=バンドマスター:曲の進行や演奏のまとめ役)を務めるバンドなので、音に対しての違和感といったストレスが一切なくて、しっかり歌に専念できる。バンドが作ってくれる音に私がポンと乗っかって、そこからいい循環が始まって、エンジンがかかっていく…… という感じでしたね。

そんなバンドと一緒に歌うまりやさんの表情がとてもおだやかで楽しそうだったのが、大変印象に残りました。

今回、とても和やかな雰囲気で、楽しみながらツアーを廻ることができたんです。達郎バンドは、音楽的に結束しているのと同時にメンタリティも成熟していますから。私にとっては結婚後最大規模のツアーで、11年前の2014年より5本増えてるんです。でも、全くしんどくなかった。後ろで支えてくれるバンドメンバーとの信頼感も含め、あらゆる面で環境が整っていたからだと思うんですね。私はライヴの経験値がとても低いので、これまでのツアーはステージに立つたびにすごく緊張していたんです。でも今回は、1公演目から最後までずっと、お客様と対面するうれしさの方が勝っていた。1曲目の『アンフィシアターの夜』のイントロで、達郎がギターを鳴らすと大きな歓声が上がる。その声を聞いて気分がぐっと上がった私は、ステージプロデューサーの末永(博嗣)さんにポンと背中を押されて舞台に出る。そんな高揚感もこの映像から伝わるのではないでしょうか。

“ライヴを記録している映像”というより、全編に渡って物語性も感じられる“作品”として楽しめる。
実際にライヴを見た方もそうではない人も、皆さんがいろいろな想いで見られるのではないかと感じます。

そう思うとやっぱり、記録しておく意義がありましたね。来てくださった皆さんの心の中に記憶として残っていくのもすてきだけど、残念ながら来れなかった人にもツアーの雰囲気の片鱗だけでも感じてもらえたらなって。バンドの素晴らしさや会場の空気感、私が皆さんと会えて喜んで歌ってる姿とか、それを残しておけて良かったなと思いました。